みすゞかる 信州の釣り人

体重0.14tの釣り師ですので目立つのが悩みです。 今までは写真を撮って釣行日誌としてましたが今後はブログとして趣味の歴史探索や刀剣も含めて綴ってみます。

山浦真雄研ぎ上がり 1年2ヶ月ぶりの対面

昨年の5月連休中に研ぎに出した山浦真雄の長巻直し刀が研ぎ上がってまいりました(皇紀2683年5月20日掲載)。研ぎ師は府中に工房を構える春藤秀樹先生です。今回は通常の研磨では無く上研磨でお願い致しました。刀は長巻直し刀で有り『正雄』銘となります。『正雄』の銘は嘉永元年から嘉永3年くらい迄の上田打ちで有り、嘉永4年8には『真雄』に変わっております。

代金は既に振り込みました。金額は265,000円です。恐らく皆様は高額に感じると思います。此の代金には白鞘の制作代金も含まれております。

研磨の工程をこのブログで書くと膨大な文章になりますので省きますが、簡単にご説明させて頂きます。まず下地研ぎが金剛砥→ 備水砥→ 改正名倉砥→ 中名倉砥→ 細名倉砥まで研磨し、この後に鞘師に白鞘制作に回します。その後の仕上げ研ぎは 内曇地砥→内曇刃砥→刃艶→地艶→拭い→刃取り→磨き→ナルメ→流し入れとなります。此れが上研磨となると内曇砥から刃艶及び地艶などの各工程に費やす時間が更に多くなるのです。実は実際に研磨の仕事を見ると期間及び金額とも充分に納得出来る内容となります。つまり研師が居ないと刀は出来ないのです。

此方は研磨に出す前の正雄です。所々に錆が出て、地も刃も白くボヤけてます。
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此方が研ぎ上がりの正雄です。写真が下手で申し訳ありません。
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出す前はハバキが錆が酷くて外せませんでした。
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此の様に黒錆になり帰ってまいりました。
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では此処から研ぎ上がりの地刃を片面のみご案内致します。

刃中に走る金筋や平地に重なる鉄が粘る感じが見て取れます。
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此の写真は地鉄が良く見てとれます。
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刃縁が冴えて見えます。
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少しづつ上にずらして撮影しております。
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鉄質が下から上まで均一の鍛えに見えます。
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切先です。光って見えておりませんが帽子は尖っており、かなり深くまで焼き下げております。
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春藤先生のお話では『久しぶりに正雄を研ぎました。兄の清麿もそうですが新々刀なのに此の兄弟の刀は鉄が柔らかく研ぎ易いのです』との事でした。

家に正雄を持ち帰り撮影しながら鑑賞しておりましたら、4時間が経過しておりました。今後は我が家の守刀になって頂きたく正雄に拝礼した次第です。