みすゞかる 信州の釣り人

体重0.14tの釣り師ですので目立つのが悩みです。 今までは写真を撮って釣行日誌としてましたが今後はブログとして趣味の歴史探索や刀剣も含めて綴ってみます。

今年最後の渓流釣り

最近めっきり涼しくなって来たかと思うと、早いもので今年最後の渓流釣行となってしまいました。

秋桜が咲き乱れると同時に渓流釣りが終わりを告げますので、私にとっては山口百恵さんの名曲同様に哀愁を感じるお花です。
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山も川も少し前まで夏の気配がムンムンでしたが、此処二、三週間ですっかり秋の気配が致します。そして秋の山はキノコやアケビが出る宝の山なのです。今朝は仮に釣り場までの道のりに美味しそうなキノコがニョッキっと出ていても採らない事を心に誓ってました。一つ採ると夢中になって山に分入ってしまい最後のゴールデンタイムを逃してしまうからです。

川は平水でした。花崗岩の中を流れ降る清浄なる渓水は何時も私の心を癒してくれます。
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今日は何時もの硬い大物竿では無く山水の親方直伝の柔らかい総調子の竿です。此の竿は河川の中流部となる清流のハヤとかジンケンを釣る竿なのですが、ある程度曲がった後は意外に腰が強く尺モノでも大丈夫なのです。シマノの竿ですが、ご覧の様に私の指より細いものです。硬い渓魚の顎を針先が瞬時に貫ける様に、柔らかい分だけアワセは鋭く大きく行うのがコツとなります。
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此方が清流竿の通常ターゲットとなるジンケンです。一般的にはオイカワと言います。15cm位の魚体ですが、専用の釣り競技まで存在する人気魚なのです。通常は渓魚が釣れる上流部には居りません。レインボーカラーで一見不気味ですが、素揚げで食べると意外と美味しい魚なのす。画像は長野県のHPより
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此の竿の利点はまず軽い事と極小錘の軽い仕掛けを振り込めるところに有ります。何故に極小の錘かと言うと、枯葉が水中に吸い込まれる流れに仕掛けを入れ、俗に言う『食い波』に潜り込ませる為なのです。ヘビー級の錘でズドンと沈める釣りとは明らかに一線を画します。

今日の餌は石に着いている此の虫を使いました。ミミズやブドウ虫などよりずっと軽い餌なのです。
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仕掛けが食い波に入ってしまったら、むしろ沈んでしまう錘は無い方が良くなります。木曽のアマゴはそんな餌の集まるところに定居していると思われるのです。此処が流れの中に定居するアマゴ釣りと、岩の影に居るイワナ釣りとの差になります。文章にすると簡単ですが実際には『秘伝』とも言える釣技となります。

そんな沈み込む波に入れて食わせたアマゴが此方です。今日も川の恵みを授けてくれた木曽の龍神さまに感謝致しました。魚達はフトコロノの深い瀬の流心下で食ってまいりました。
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此の様なポイントにはイワナが着いております。今朝も案の定太いイワナが川虫を食べてくれました。竿が柔らかいからスリル満点です。まだまだ釣れそうですが、食べるにはもう充分なので此処で納竿です。
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我々の会では解禁時とシーズンの終わりには必ず行う大事な儀式がございます。『納竿の儀』と我々は言っておりますが、御神酒とお塩をお供えし、御神酒を天の神さまに向かって数滴、川の神さまに向かって数滴、地の神さまに向かって数滴捧げ、今年一年間無事に過ごせた事の御礼を心の中で唱えるのです。因みに拝礼時の柏手は秋山郷の師匠譲りの4回です。
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帰りに南宮神社の神さまにも御礼申し上げて帰路につきました。国道を進み権兵衛トンネルに向かう為に神谷入口の交差点を右折する時に気が付いたのですが、渓谷は薄っすら秋色に染まっておりました。毎年の事なのですが今年も楽しませて貰った木曽に約半年間の別れを告げる事を寂しく思った次第です。木曽川龍神さま、お世話になった地域の皆さま、今年も有難うございました。来年春にまた来ます!
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