みすゞかる 信州の釣り人

体重0.14tの釣り師ですので目立つのが悩みです。 今までは写真を撮って釣行日誌としてましたが今後はブログとして趣味の歴史探索や刀剣も含めて綴ってみます。

趣味の話 古銅の置物

古銅とは銅に錫や鉛などを混ぜて造る合金です。刀装具にも赤銅と言う銅に金や銀を少量混ぜた合金が古来から多く使われております。うちのご先祖様は古銅製品がお気に入りだったのか分かりませんが沢山の品を私に残してくれました。個人的にも3つ程買ってしまって更に増えてしまいました。今回は更科の実家から町田に持って来ているうちの一部を紹介致します。

日本では明〜宋の時代に造られた古銅製品が唐物(カラモノ)とされて茶道などで珍重されたと書物に有りました。最初は花入として伝わった物が多いと言われておりますが、当時の古銅花入は中国の宋〜明の時代に作られた物であったそうです。やがて室町時代の東山文化が花咲く時代には日本でも様々な様式の物が作られる様に成って中国の物と区別がつき難くなったと伝わります。東山文化は銀閣寺が有名ですが『わび』(さび』や能楽の『幽玄』に代表される日本人の美意識の極みですね!古銅は東山文化から継続する床の間を持った座敷などに良く合います。独特の色合いと古雅な味わいが多くの日本人の心を掴んだと言われておりますが、何を隠そう私も掴まれちゃった1人です。

古銅小禽図香炉
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小鳥の種類はわかりませんがオナガ鳥でしょうか? 南瓜の葉にとまって囀っている姿が何とも愛らしくて気に入っております。古銅製品の色合いは独特の雅味が有り場面を選ばず置けで助かります。

顔を拡大しました。
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羽の部分が外れて灰と香木を入れる事が出来ます。小鳥なので容量は少なく長持ちしない事が欠点です。
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南瓜の葉に虫食いの穴が空いており、妙にリアルです! でも何で南瓜なんでしょうか? 南瓜は冬至に食べますが....不勉強で分かりません。
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香道室町時代に始まりましたが香木が日本に入って来たのは仏教と同じ時代であり推古天皇の時だそうです。私は全くの門外漢ですが身内などに何人か嗜む者がおり、諸様式や捉え方など教えて貰った事があります。個人的な感覚です能楽香道に通じる人は古典や書など諸般の知識人が多いと思われます。

古銅鳳凰図香炉
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鳳凰が岩場を闊歩する図柄を現した構図です。鳳凰の卵は不老長寿の霊薬であり霊鳥です。羽の部分に七宝を施した雅な造り込みです。結構大きい品で上手く撮れませんでした。

右を向いて貰いました!
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尾羽の下まで七宝が施してあります。
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此の香炉も背中の部分が外れる仕組みです。
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鳳凰とは雉科なのでしょうか?雉科の鳥の雄に見られる蹴爪(ケヅメ)が有ります。此の蹴爪から見てかなり力の強い雄だと思われます。
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香炉は武家の床の間を飾り香を焚き染め空間を清めたりする道具に使われました。戦陣に立つ前に兜や髪に香を焚き染め興奮しない様に鎮静効果を狙ったり、正々堂々闘い武運拙く兜首を掻かれた場合に見苦しくならない様に焚き染めたとされております。
Wikipediaより
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有名な話は大坂夏の陣で討ち死にした木村重成です。家康公が西軍の武将であった重成の首実検査で兜首を見て2度と兜を脱がない決意でキツく締められた緒と焚き染められた香の匂いを知り、其の覚悟の深さと雅な行いに重成の武者ぶりを満座の中で褒めちぎったとされております。首だけに成った後も誇りと礼節を重んじる覚悟は日本人独特の死生観ですね!

古銅釈迦誕生仏像 天井天下唯我独尊
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釈迦族の王として生まれたお釈迦様は生まれた時に此の様な仕草をされたとの事。独善的で誤解されがちな意味では無く『身分の差や貴賤を問わずどんな人間も目的を果たす為に生まれて来た』と言う意味であると菩提寺の就職が話されておりました。
柔らかいお顔をされております。お生まれに成られたばかりなので額の白毫は有りませんね!
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古銅観音菩薩
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此方は小ぶりな古銅の観音様です。少し変わっているのが左を向いている事です。何故左を向いているかは不勉強である為に意味は分かりません! 観音様とは観自在菩薩さまで有り「観自在菩薩 深般若波羅蜜多』で有名な般若心経の冒頭にに出てくる菩薩さまで有名ですね! 因みに身内のお葬式の時に菩提寺の住職から聞いたのですが仏教では人が他界したら輪廻転生するという考え方なので既に転生している新しい命に栄養を供える目的でお経をあげ、文字通り『供養』すると言う意味でお経をあげるとの事です。

観音様には失礼ですが、お顔のアップです。
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観音さまは厳しい修行を経て全ての事を自由自在に観る事が出来る様に成ったと伝わります。ご先祖さまが仏壇に置いた物でしょうか?何にしても現在は居間の違い棚最上段で家族を見守って頂いております。

まだまだ色々ございますが、これ以上の品を紹介すると長くなってしまうので本日は此処までに致します。