渓流釣りはオフシーズンと成って2ヶ月以上経過し、山も木々も葉を落として後は雪景色を待つのみと成りました。此れからの季節は日本酒が美味しい時期です!師走に近づくと各酒蔵で新酒がしぼられ『あらばしり』なる香気豊かな日本酒が楽しめるシーズンが始まります。白身の魚で冷たいのをキュッとやるのも良いし、時期的にそろそろ実家より送られる漬けたばかりの野沢菜に七味をかけてボリっとしてからキュッとやるのもまた格別です。更に何故かお気に入りの酒器で頂くと美味しさも倍増致しますので本日は新酒シーズンを前に何時も使っている酒器のいくつかをご紹介する事に致しました。
常滑焼粉引き徳利と杯
写真はたまたま粉引で白っぽいのですが、常滑焼は土に含まれる鉄分を赤く発色させた急須が有名です。常滑焼は猿投窯の流れを汲み規模的にも古さでも他の産地に大きな影響を与えた古い焼物です。通常の焼き物だけでなく土樋と呼ばれる土管などインフラ関連用にも常滑焼は活躍しました。
丹波焼赤土部釉酒器揃い
丹波焼の発祥は平安時代末期から鎌倉時代初期にさかのぼります。個人的には赤土部釉(アカドべユ)が好きです。
備前焼酒器揃い
とても古い歴史を持つ備前焼は古墳時代の須恵器の製法が変化したものと言われております。江戸中期過ぎから伊万里焼や九谷焼に押されましたが金重陶陽先生の出現で現在の隆盛となりました。備前焼は素朴ですが味わい深く『土』の存在感に圧倒されます。
信楽焼徳利と杯
信楽は平安時代後期に常滑焼の技術を取り入れたと伝わります。信楽焼の土には長石が含まれており、焼くと溶けて白い粒となり『蟹の目』と表現される特徴となっております。
黄瀬戸ぐい呑み
瀬戸焼は猿投窯の流れを組みます。黄瀬戸をはじめ瀬戸黒、有名な織部や志野も瀬戸焼の一部です。全国を席巻した瀬戸物として知らない日本人は居ないと言っても過言では無いと考えます。
越前焼ぐい呑み
越前焼きはその源を須恵器に発します。正に剛毅朴訥という言葉が頭に浮かぶ力強い焼き物であり品格も高いと感じます。
常滑、丹波、備前、瀬戸、信楽、越前の普段使い品を一つずつ紹介させて頂きました。反対に使う目的では無く身近に置きたいだけの目的で清水の舞台から飛び降りるつもりで買った作品も有りますが、そんな器達は結局一年にニ度か三度取り出して楽しんでいるだけです。器は使ってナンボとよく言われますが、やっぱり手に馴染んだ物が一番ですね!
お酒にだらしない私は飲めば飲む程に旨く感じてしまう味覚の持ち主なのです。したがって使う分だけ破損のリスクも増えてしまいます。実際に今迄多くの酒器を破壊してしまいました! 織部の徳利を落として割った時は瀬戸市の方角に向かって作者に大声でお詫びしたり、越前焼の徳利を割った時も越前の方向に向かって作者の名前を声に出して頭を垂れて謝りました。しらふの今、思い出してみると我ながら正直馬鹿みたいだと思います! コロナ禍で外で飲む機会が極端に減って家で飲む事が多いのですが、今年こそは破損なしを目指してお酒を楽しみたいと考えております。