みすゞかる 信州の釣り人

体重0.14tの釣り師ですので目立つのが悩みです。 今までは写真を撮って釣行日誌としてましたが今後はブログとして趣味の歴史探索や刀剣も含めて綴ってみます。

信濃国探索の旅 その4

本日の宿に着きました。近隣には亀の湯や鶴の湯など大好きな日帰り温泉が有りますが、実家から近いだけにこの辺の温泉宿には泊まった事がほぼ無いのです。今回は三つの家の守り刀を其々拵えに入れて持参致しました。刀掛けに掛けて日頃お守り頂いている御礼の意味も込めてお神酒を捧げました。

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刀袋に入れた短刀と脇差


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拵えを装着した三口


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手入れ前の油を拭った刀身


お風呂も内から温まり疲れを癒してくれます。夕食はビールとそ焼酎で乾杯です。お料理の内容も濃く美味しく頂き、後はゴロンとして直ぐに夢の中でした。

翌朝は金融マンの性分なのか?皆早起きです。早めに目が覚めたので朝風呂を頂きましたが朝の温泉は本当に気持ちが良いものですね。やがて皆が起きて其々朝風呂に入り、少ししたら朝ごはんの時間となりました。朝ご飯に豆腐の上に醤油豆という郷土料理を乗せた小皿が出てまいりました。黒豆麹で作られる醤油豆は信州独特です。今回久しぶりに醤油豆を食べましたが懐かしい味でした。

着替を済ませ、床の間の刀掛けに掛けてあった短刀に一礼して刀袋に仕舞い、房紐を結んで桐箱に収めます。そうこうしている内に皆の準備が整いましたので本日の旅に出発です。


今日の最初は科野における古墳時代の国王に逢いにまいります。目指す場所は森将軍塚古墳です。『森』と言うのは地名です。色々説明するより、此処だけは百聞は一見にしかずです。正直あまりのスケールに圧倒されてしまいます。山の上にある為、受付で往復の切符を購入し送迎車で山の上まで車に乗せてもらいます。

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墳墓を少し上から見た景色です


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古墳上から見た科野の風景


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圧倒的な大きさです


此処だけでなく、近くには沢山の古墳が点在致します。資料館には沢山の出土品も展示されており、ヤマト王権との繋がりを示す三角縁神獣鏡も御座いました。墳墓の建設には当時高価な鉄器を使用し岩を割り、玉石などは千曲川から運んだと説明書きにございましたが、人口の少ない古墳時代に此れだけの墳墓を作るのは高度な技術と途方も無い人の手が必要だったと偲ばれます。墳墓の主人につきましては、今の処はどの様な人物だったかは分からないみたいですが間違いなく科野を治めた人物だと思います。

すぐ近くには縄文の竪穴式住居の再現された集落が建設されており、当日は子供達が大人同伴で縄文式土器を焼いておりました。子供の頃から地域の歴史に興味を持てる様な行事は素晴らしいですね。前記致しましたが私は父親の話で郷土の歴史に興味を持ちました。その後に大学入学で東京に出てから郷土愛が更に強まりました。

趣味の刀剣は時代毎の姿と鉄味などで制作年代の見当を付けますが、例えば応永備前(約600年前の応永という年号に備前国で制作された刀剣類)なら、応永には日本の中で何があったかを大体知らなければ刀の背景が分かりませんので調べる事となります。その過程で当然郷里での出来事も重大な関心事項となります。好きな事なので致し方ないのですが、渓流釣りオフシーズンでも時間がいくら有っても足りません。

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森将軍塚古墳資料館


坂城町 鉄の展示館

最後の訪問地は坂城町が生んだ天才刀匠の人間国宝 故 宮入昭平刀匠生誕の地に創設された『鉄の展示館』です。今回は特別展、高山一之先生の『拵え.刀装の美』が開催されております。私の祖父は刀剣商で、母方の叔父も刀剣商なので幼少より刀剣には親しんでまいりました。拵えや刀装具は全てに注文主の願いが込められております。刀身彫刻も含め、全ての刀装具には願いを込めた意匠に意味が有ると教えられました。これをじっくり見て理解するのが楽しみです。最も理解できるのは極端に少ないので現在も勉強中です。頭、縁、鍔などに一連の意匠を凝らした一作拵えは超絶技巧で掘られており、抜いたら最後の刀の拵えに贅沢に使用され、鞘と柄との絶妙なバランスで全体的に調和しております。現代作に於いても掟に忠実な名作の数々は眼福の極みでした。肝心の鞘の塗りに関しても呂塗り、潤み塗り、複雑な変わり塗り、梨地塗り、蒔絵、沈金など気の遠くなる様な手間が垣間見れました。鞘作りの各工程の説明も写真付きで表示されており、とても勉強に成りました。中でも出鮫の匕首拵えで目貫が蝙蝠、鞘には大きな御月様と闇夜に飛翔する蝙蝠の蒔絵を銀粉で施した名品には感動して暫く魅入って仕舞いました。真剣に観たら丸一日かかりますので時間的に諦め、図録を購入致しました。

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展示会の図録です


これで全日程が終了しましたので帰路に着きました。今回はほんの一部ですが、信州にはまだまだ数多くの名所が御座いますので今後も紹介してまいります。