みすゞかる 信州の釣り人

体重0.14tの釣り師ですので目立つのが悩みです。 今までは写真を撮って釣行日誌としてましたが今後はブログとして趣味の歴史探索や刀剣も含めて綴ってみます。

趣味の話 郷土の陶器 松代焼 其の3

夏に訪問した松代焼の窯元である唐木田陶苑さんの青いトルコブルー釉作品が頭から離れずにおりました。加えて二代目である唐木田伊三男氏の誠実な人柄にも心打たれておりました。創る作品は違えども刀鍛冶で幕末の名工山浦真雄も『刀工の人格、天理が造刀に感化する』と言っております。つまり創りあげた作品に作者がどのくらい天の理に通じているかが如実に現れ、其の事が作品の品格を決めると言う意味です。私みたいな半端者には分からない世界ですが、極めて作品の確信を突く話だと思います。焼物としての昨品も刀剣も意図を持って製作しているのですが、最後には人知ではどうする事も出来ない領域が存在するからです。この事は私如きの拙い文章表現では現す事の出来ない領域です。

其の想いは『少しでも現在における郷土の逸品を世に知らしめる術は無いものか』と言う気持ちに変ってまいりました。しかし反面で生意気な事をしていると言う気持ちも持ち合わせておりました。

私の勤務している営業所では、社員と奥様の誕生日にささやかな贈り物をする風習が有ります。一人当たりの金額にも制約が在るのですが、40人近くいる社員に対して奥様も含めると結構な数になります。そこで私の一存にて其の品物を唐木田陶苑さんに頼む事にしました。電話で伊三男氏に事情を話したところ、有難い事に快諾して頂き、取り敢えず2ヶ月分を送って頂く事になりました。

コチラが2ヶ月分の品々の一部です。1人に1個だけなのですが、心を込めて進呈する予定です。
f:id:rcenci:20221015211715j:image

淡い青に黄色が眩しい大きめの楕円形皿です。サラダ料理は勿論、トマト系のパスタやホワイトソース系のパスタにも良いのではと思います。
f:id:rcenci:20221015211732j:image

深い青が眩しい深皿です。見方によっては曜変天目の様にも見えます。曜変天目が夜の星空に対し、コチラはさながら夏の青空に飛行機雲と入道雲と言うところでしょうか。
f:id:rcenci:20221015211754j:image

コチラは一輪挿し。今月誕生日を迎えるベテラン女性社員が大喜びしてくれました。
f:id:rcenci:20221015211809j:image

先の写真を撮影する前に30代男性社員に渡した大きめのタンブラーです。『持った時の触り心地が最高です。コレで夜のビールを飲みます』と大変喜んでくれました。故郷の陶工の作品が遠く離れた三重の仲間を喜ばしている事を嬉しく思いました。
f:id:rcenci:20221015211828j:image

小さめのカップです。冷酒やワインなどに良いかも知れません。コチラは来週末に誕生日を迎える若手女性社員が事前に選びました。同じ作品は一つとして無いので、どの作品も気に入ってくれる人に嫁入りさせたいと考えております。
f:id:rcenci:20221015211843j:image

コチラは少し大きめのカップです。誰に嫁入りする事やら現在では分かりません。
f:id:rcenci:20221015211859j:image

コチラはタップリ入るタンブラーでして、翌週月曜日に誕生日を迎える管理課長が予約して行きました。大好き焼酎のお湯割に使うとの事です。私は唐木田陶苑の近くを悠々と流れる犀川の水面に落ち葉が流れる風情を想像致しましたが、三重県志摩育ちの管理課長は、青い海が砂浜に打ち寄せる渚の景色と言っておりました。思ってみれぼ当たり前の事ですが、人の深層心理によって器に見出す景色が違うのだと改めて勉強になりました。
f:id:rcenci:20221015211915j:image

唐木田伊三男氏による青釉の説明書きです。銅を使った青釉は4600年前の古代エジプトまで遡り、ペルシャなどの中東でも焼かれたとあります。ではテルモピュライの戦いでレオニダス一世が30倍のペルシャ軍に立ち向かって敗れ去った時代にも在った事になりますね。
f:id:rcenci:20221015211932j:image

今回は誕生日プレゼントを仲間が喜んでくれた事で助かりました。一つ間違えば職権乱用及び無理矢理押し付けるハラスメントになってしまいます。家庭での一コマで唐木田陶苑さんの器が楽しい時間を仲間達にもたらす事を切に願う次第です。