みすゞかる 信州の釣り人

体重0.14tの釣り師ですので目立つのが悩みです。 今までは写真を撮って釣行日誌としてましたが今後はブログとして趣味の歴史探索や刀剣も含めて綴ってみます。

信濃国探索の旅 その1

渓流釣りの季節が終わると刀剣鑑賞の仲間と勉強の為に、史跡探索及び刀剣が展示されている施設を巡ります。刀身を置く刀枕の色を若草色で統一してある為に若草会と名付けてます。

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今回は長野県千曲市に有る戸倉上山田温泉に一泊しました。此処の温泉は単純硫黄泉という種類の泉質でとても温まりますよ。千曲市は別名『あんずの里』と申しまして、伊予宇和島藩の伊達家より松代藩主に嫁いだ姫が、郷里に育った杏子の種を持参したのが始まりとされております。松代藩でも咳や喘息などの妙薬として栽培を推奨し、沢山の杏の木が栽培されました。それが現在の『あんずの里』の元となったと伝承されております。

また宿泊先の戸倉上山田温泉周辺には山城が多く存在します。城の名前も凄いんです! 例えば村上義清公の狐落城なんて、狐でさえ落ちると書くんですよ!狐落城跡は数年前に登りましたが半端な山城では無く、登るのに苦労致しました。野生のキツネさんが落ちるのも頷けます。

私の故郷の千曲市埴科郡と更級郡が合併し更埴市と成り、平成に千曲市と再度名前を変えております。私の実家は商売をしておりましたので食事は必ず家族全員で囲み、観世流能楽師範でもあった父はとても歴史好きで、話は何時も周辺の歴史の話でしたので嫌でも覚えてしまいました。今回の旅行は会の仲間4人での旅となります。

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諏訪湖インターからの眺め


最初に向かったのは戸隠神社奥社です。長野インターで降りて飯綱高原の玄関口である大座法師池を過ぎて戸隠山に向かいます。大座法師池は飯綱高原の玄関口です。因みに此処には飯綱信仰の聖地である飯綱大権現が鎮座する飯綱山があります。武田信玄公や上杉謙信公など沢山の武将が熱心に崇敬致しました。謙信公の兜の前立は飯綱大権現です。東京に住む我々に親しみがある高尾山薬王院も飯綱大権現が御本尊なんです。飯綱の語源は『飯砂』につながります。食べられる砂??とも思われると思いますが、正体は『天狗の麦飯』と言われている本当に食べられる微生物の塊状と成った砂が周辺に自生している事が由縁なのです。大昔の事らしいですが飢饉の時に実際に食べたと地元の方に話を伺った事があります。私は見た事は有りますが食べた事は有りません。

話を元に戻します。戸隠神社は奥社、中社、宝光社、火之御子社が鎮座しております。此の神社は『天の岩戸伝説』に功績が有った神様を祀る神社で、『天の岩戸伝説』と言うのは文献として残されている八百万神唯一の共同作戦です。

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仁王門


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千年杉通




天の岩戸伝説

(どうしても長文になります ごめんなさい)

父である伊邪那岐命(イザナギノミコト)に黄泉の国に行った母に逢いたいと泣き噦って、父から与えられた仕事を放棄した事で勘当同様に怒られた素戔嗚命(スサノオノミコト)が天界に登りました。天界の天照大御神(アマテラスオオミカミ)は素戔嗚命が天界を奪いに来たのか?考えました。天照大御神(アマテラスオオミカミ)の誤解を解くため誓約(うけい)を結ぼうと素戔嗚命が提案致しました。天照大御神はその提案を了承致しました。此の誓約の内容は御子神を生む事で心が互いの心が清い事を証明するものです。天の安河という河を挟んで二手に別れ、まず天照大御神素戔嗚命の持っていた剣を噛み砕き、吹き出した息の霧から宗像三女神を生みました。今度は素戔嗚命が、天照大御神の「八尺の勾玉の五百箇のみすまるの珠」を噛み砕いて吹き出した息の霧から五柱の男神を生んだとの事です。これにより素戔嗚命が天界を乗っ取りに来た訳ではない事が証明されました。天照大御神が噛み砕いた剣とは神代の神器である『十拳の劔』という剣で、拳(こぶし)を十個並べた柄を持つ剣の事です。拳10個だと推定で最低拳20個以上の刀身も恐らくあるでしょう。とんでもなく長大な剣である事が想像出来ます。その後許された素戔嗚命がしばらくして、生来の乱暴癖を出し始めました。生きた神馬の皮を剥いで天照大御神が住まう御殿の屋根に穴を開け、皮を剥いだ馬を投げ込んだとの事です。今で考えると猟奇的何とかというヤツですがあくまで神話の話です。その時に天照大御神の機織巫女が死んでしまい、その事で天照大御神は天の岩戸にお隠れになりました。さあ大変、世の中は多くの災い続きとなりました。そこで八百万の神々が集まり一番の知恵者である天八意思兼命(あまのおもいかねのみこと)が発案した作戦を実行致しました。最初に長泣鳥(太古の鶏か?)を集めて岩戸の前で泣かせましたが失敗に終わったとの事です。其処で別の神が鏡を作り、また別の神が勾玉を沢山作り榊の木に鏡と共に掛けたとの事です。そこで天宇受売命(あまのうずめのみこと)という女神が踊りを行い、半狂乱になった天宇受売命の衣が乱れましたが踊りを続け、その滑稽さに居並ぶ八百万の神々が笑いました。余りに外が賑やかなので天照大御神が岩戸を開けた処、天宇受売命が鏡で天照大御神の御顔を写し、貴方様より高貴な神様がおいでですと伝えたら、少し外を見てみようと天照大神ご岩戸を大きく開けました。其処で待ち構えた八百万神一番の力持ちである天手力男命天照大御神の手を引き外に出して世の中に平穏が戻ったとの内容です。岩戸は二度と同じ事が起きないように天界から落としました。その落とした岩戸を手力男命が九州の高天原から岩戸を隠せる霊山に運びました。その後に其の霊山が戸隠山と呼ばれる様になりました。手力男命は戸隠までもう少しの場所で冠を取って汗を拭い一休み致しました。腰掛けた山を冠着山と言います(祖母から聞いた伝承なので真意は不明)。

岩戸伝説の説明が長くなりました。戸隠神社の構成ですが、一番上の奥社には手力男命と在来神である九頭龍神とを一緒にお祀りしております。真ん中の中社には知恵の神様である天八意思兼命、宝光社には先の天八意思兼命御子神である天表春命、火之御子社には踊りを踊った天宇受売命が祀られております。

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漆の紅葉


奥社参道を歩く我々は荘厳な雰囲気の中で心が清やかに成り、生まれ変わる様な感覚で参拝致しました。本当は全て参拝するのが一番良いのですが、今回はスケジュールの都合上奥社のみの参拝です。

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九頭龍神を祀る九頭龍社


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天手力男命を祀る戸隠神社奥社



次に続きます。