我が家の栗の木にも立派な実が付いてまいりました。秋に収穫して栗ご飯にするのが今から楽しみです。
思うところ有って暫く遠征釣りは控えて家で土日を過ごす予定です。久しぶりの自宅で過ごす2日間なので色々家の仕事をしております。
さて、今日は何時も釣りに出掛けている木曽の七不思議の一つをご案内致します。決してスピリチュアル的な話では無く、なんで此処に?的な話しなのです。
渓流釣り自体が人の居ない山に入り込む特性上仕方の無い事ですが、木曽では色々な体験をしております。波長が合うのかどうかは定かでは有りませんが、此の地に来ると普段は感じないモノまで感じてしまうのです。しかし本日ご案内するものは、其の存在自体が『?』となった場所です。最後に私なりの考察を添えさせて頂きます。
其れが此方です。場所は型の良いアマゴやイワナが釣れる黒川沿いにございます。像自体は比較的新しいモノですが、前に対をなしている五輪塔は古いモノです。
此方はお墓なのですが、従四位下天文博士の官職を持った安倍晴明の墓なのです。私が安倍晴明を知ったのは夢枕獏さんの『陰陽師』と言う本でした。以外と昭和中頃生まれ迄の先輩諸氏より、昭和後半から平成生まれの皆様の方が知名度が高く感じますね。
晴明は当時の律令制で申し上げますと、中務省に有る陰陽寮と言う団体に勤務しており、今で言えば文科省の役人の様な存在です。勿論此の時代の科学とは天文や暦などが主体ですが、 平安時代の中頃には物忌(ものいみ)や方位など陰陽道の禁忌が確立致しました。写真はコトバンクさまより
安倍晴明が実際に活躍したのは50歳を過ぎた頃でした。天文や陰陽道の技を駆使して国益を狙っていた御方なのです。時の権力者である藤原道長に重用され、彼は85歳まで生きました。普段テレビで観る晴明は若い美男子ですが、活躍した頃は当時の平均寿命からしてかなり高齢でした。
小倉百人一首の一枚です。安倍晴明のお父さんは安倍益材であり、お母さんは『葛ノ葉』と名乗る白ギツネの化身であったと伝わります。此の絵は、お母さんの『葛ノ葉』と幼い晴明が描かれておりますね。白狐さんとは思えない美しい女性です。怪我をした白ギツネを益材が救った事が発端だと伝わりますが、天体や暦などの吉凶によって国の方向性を定める大事な政府機関に半妖の輩を召し抱えていたとは考え難いです。
また、師匠は賀茂忠行と言います。此の忠行が凄い方でして、何と彼の家系は八咫烏にまで遡る名門の出自なのです。晴明は本当に良い師匠に教えを受け陰陽道を確立したのです。陰陽道とは陰陽五行思想から発生したモノとなります。
太極図です。
実は安倍晴明のお墓は京都嵐山にも存在しております。此処には私も興味本位で晴明神社と合わせて訪問した事がございます。しかし此の他にも数箇所存在するのです。
像のみ拡大すると五芒星が確り黒印されてますね!
直ぐ横に設置されている説明書きです。最後に木曽町と有ります。
此の像は角度を変えて見ると、お母さんが白ギツネだったとう伝説が残っているだけに狐に見えます。道路側から写した方がより狐に見えたのですが、下手なボケ写真になってしまい、此の写真でお許し下さい。
安倍晴明のお墓が多く存在しているのには、当時の深い理由が有ると思います。力のある陰陽師も怖い鬼も両方とも人外の力を持つモノとして、死後も同様に力を持っていると当時は捉えられておりました。
例えば信濃では魏石鬼八面大王 (ぎしき はちめんだいおう)、西国では京都大江山の酒呑童子などに鬼退治に伝説がごさいますが、人ならぬものは死後に再び復活する伝承が有ったのです。魏石鬼八面大王は復活を恐れて身体をバラバラにされて各地に埋葬されました。此れは復活を恐れての事なのです。
切られた酒呑童子の首が源頼光を襲う光景です。此の時も晴明は陰陽道の秘技により酒呑童子の霊力を抑えたと伝説が残ります。此の様に首だけになっても鬼の霊力は消えないと考えらておりました。
此れは私の推測ですが、有名な陰陽師である安倍晴明の身体や骨には特別な霊力が備わっており、其れを利用する良からぬ輩がおるやも知れぬ....と言う事で、恐らくは多くの墓を造り、其の所在を分からなくしていたのではないかと思います。
でもどうでしょう?京都に住んでいた安倍晴明を分かり易い同じ京都の嵐山に葬るでしょうか? 残された家族は恐らく安らかな鎮魂を願っていた筈なのです。
お墓が本物であった場合としての推測ですが、お墓が荒らされると分かっていながら近い嵐山には葬らなかったかも知れませんね。むしろ都から遠く離れた木曽谷にひっそりと葬ったかも知れません。此のお墓の有る土地は古くから晴墓士(せいばかせ)と呼ばれているそうですが、明治七年に清博士と改められて現在も残っております。ご興味の有る方は是非行ってみて下さい。あと3ヶ月もすれば広葉樹の素晴らしい紅葉に美味しい新蕎麦が味わえて最高の季節となります。