今回のテーマは『更科のキノコ採り2』です。しかし実際には今回で6回目のキノコ採りとなりました。今年の更科の山々は例年と比べてキノコが豊作だと知人が言っております。
山は少し色付いておりました。
キノコ採りは師匠でもある母親も一緒に行きます。妹とは母親となるべく会話をして、母が呆けないように連携しておりますが、実際には呆けるどころか元気過ぎて困るくらいです。実に有難い事だと帰郷の度に氏神さまに参拝し御礼申し上げております。
氏神さまの武水分神社八幡宮です。遡る事55年前に此方の秋祭りである大頭祭の二番等を我が家が務めた時に母が私を身籠りました。我が家は其の昔に京都岩清水八幡宮より武水分神社に八幡神を勧進した折に京都から随行して来た一族です。
金曜日に帰宅してから中央自動車道を走り、更科の自宅に深夜2時に到着し、母親が敷いてくれた布団に入り4時間ほど眠りました。朝ご飯を食べて出発したのは8時半頃です。母親もやる気満々で玄関には既に愛用の長靴と竹ビクが置いてありました。
実家より車で山間に入り、約20分で目的地です。早速山に入ると、いきなり栗茸の群生に出逢いました。お馬鹿な私は今年初めての栗茸の群生に思わず歓声をあげてしまったのです。
栗茸はこんな感じで一度に沢山採れます。
この塊が2メートル四方に9ツも有りました。滅多に無い事です。
一箇所で此れ程に採れたのは5年ぶりくらいです。
なるべく崩さない様に慎重に採ります。
有難い授かり物に対し、更科の山神さまに帽子を取って御礼申し上げました。
他にも5株から10株の群生に4箇所ほど巡り合いました。私の魚籠は最初の群生で既に一杯になり、その後の収穫で予備として持っていたスーパーの大ビニール袋2ツも一杯になりましたので一旦車に戻りました。こんな事はキノコ採りを30年以上やっていて初めての事です。栗茸は一度に沢山採れるモノですが、山菜魚籠2杯とビニール袋4袋の大収穫です。
急坂の昇り降りで足が攣りそうでしたが、今度はジコボ狙いです。2年前に大量に収穫出来た山に入りました。話は変わりますが、今の様なキノコの季節には林道沿いに沢山の車が有ります。
ムスッとした地下足袋紳士も居れば、夫婦や仲間で和かにキノコ採りをされる方も居ります。実りの秋の山々は、私を含めて色々な人達に季節の山の幸を授け続けているのです。
私は釣りをしながらも思う時が有るのですが、豊かな日本の国土は我々に多くを与えてくれます。しかし、私は天地自然に対して何をしているかと言うと、ただ山神さまや竜神さまに感謝しているだけなのです。何かこう....申し訳ない気がするのです。
脱線しました....話をキノコ採りに戻します。
ジコボも沢山採れました。友人が今年のキノコは良いぞと言っておりましたが、本当にジコボだらけでした。
林道から直ぐのポイントです。
軽く採るつもりが、また魚籠が満杯で一旦車に戻りました。
其れも良菌だらけです。白ジコボも混じります。
あらま!
あらま!
余りの収穫に82歳の母親も大喜びでした。未だに山中での健脚ぶりは目を見張るモノが有ります。
ジコボは高さ45cmの魚籠に4杯分採れました。ちょっと採り過ぎてしまいました。
通常のジコボと合わせて、後半から白ジコボが多く採れました。
更科近辺の広大な山野と絵に描いた様な扇状地です。更科の山々に感謝し母親と下山した次第です。
帰ったら母と2人がかりで下拵え致しましたが、此れが実に3時間半も時間を要しました。私は作業が雑らしく、母親にアレコレ叱られながら手伝いました。54歳のオジサンでも子供は子供なのですね。
キノコの下拵えとは、まず大鍋に水を張り、塩を沢山いれてキノコを投入します。此の過程で小さな虫を追い出すのです。此の作業は水を張替え2回ほど繰り返します。その後大鍋で2、3分煮てから冷水に入れてゴミを取り除き、水分を切ってからジップロックに分けて冷凍保存致しました。
昔は沢山採れたので塩漬けにして木樽で保存し、食べる時には真水で塩抜きして食べてました。塩漬けキノコは何と数年も保存が効くのです。
夕飯には母親手製のキノコ汁やキノコご飯が食卓に並びました。ジコボに大根おろしを乗せたものを肴にして、地酒のぬる燗を頂いたのですが、口の中いっぱいに広がる山の香りを楽しみながら、五臓六腑に流し込まれる燗酒は、これまた美味しくて、つい飲み過ぎてしまいました。