みすゞかる 信州の釣り人

体重0.14tの釣り師ですので目立つのが悩みです。 今までは写真を撮って釣行日誌としてましたが今後はブログとして趣味の歴史探索や刀剣も含めて綴ってみます。

千曲川 イワナ釣り 春の渇水と奥の手

先週くらいから春の渇水の影響が顕著に成ってまいりました。シーズンを通して此の状態は一番釣り難い時期では有りますが、天然のイワナを育む種沢の初心いイワナを釣るのも少々気が引けますので、ある程度水量のある支流の竿抜けを狙うしかございません。木曽だと本流の深みなどが狙い目に成るのですが、千曲川は一昨年の大水の影響で本流が絶賛工事中なのです(友人の話だと木曽の笹川も絶賛工事中との事)。釣り師の立場で思うと無惨に川底を掘り返されている姿は残念過ぎる有様ですが、昨年の春に川上村の男橋が壊れて無残な姿をしていた事などを思うと、地元の方にとっては生活に直接影響する河川改修工事なので複雑な心境です。(川上村の男橋の壊れている写真は2020年3月21日の記事参照です)

川に降りてみると石の裏に小さな羽虫が沢山飛んでおりました。大分前の話ですが、このような時期に木曽の熊沢川下流部で羽虫を盛んに食べる良形アマゴを大量に釣り上げた事を思い出しました。其処で本日は羽虫が湧いてる周辺で良型が上を向いて潜んでいる可能性が強いと思い、其の様なポイントを釣ってみようと思いました。しかし此の釣り方は通常以上にアプローチに細心の注意を払う事と振り込み時の着水音に気をつけないとダメなので仕掛けは錘無しです。今日はテンカラ針を持参して無かったので通常通りの餌釣りです。

早速お誂え向きのトロ瀬が出てまいりました。羽虫がワンサカ飛んでます! こういう時もあるかとベストに入れていたテンカラテーパーラインを切り詰めた物にハリスを連結して錘なしの餌をソフトランディングさせました。間髪入れず何処からともなく黒い影が突進して来て手元にガツンと来ました。通常と違って此のシチュエーションだと引きが強烈です。愛竿をさ思いっきり曲げて取り込んだのは28cmの太い天然イワナでした。

春先なのにお腹パンパンです。
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普段ならチビしか居ない場所です。
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小さな落ち込みに羽虫が乱舞しております。
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写真では映らないので、羽虫の大飛翔をお伝え出来ないのが残念です。ポトっと餌を落とすと先程より手応えは劣りますが雄のイワナが釣れてまいりました。続け様に釣れてまいりますが、不思議に良型が揃います。

魚体が全体的に白っぽいという事は穴の奥深くに居たのでしょう。
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虫が沢山食べられる時に出て来たと思われます。
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作戦が功を奏し、自己制限引き数まで達したので残りの餌を川に流して竿を仕舞いました。春先の山は空気が澄み、小鳥が囀り、鹿がピーっと挨拶してくれたりして本当に気持ちが良くて時間が経つのを忘れます。

東京は桜が散っているのに此方はやっとタンポポです。
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高速道路の帰り道に勝沼を通ると桃の花が満開です。塩山市に住む身内より毎年桃を送って貰いますが、辺り一面にピンク色の花が絨毯の様に咲き乱れる光景は魔法使いが杖を振った様なメルヘンの世界でした。

そう言えば桃だけは唯一神の名前を持つ魔除けの果物です。こっちの話をすると長くなるのを理解しておりますがご紹介致します。以前に私が池袋支店に勤務していた時に仕事で川越に行きました。近くに川越八幡宮が鎮座されておりましたので参拝致しました。参拝を済ませて神域を散策したところ石で彫られた桃を祀った『桃神さま』を発見致しました。古事記で桃に神の名前が付けられるシーンは知ってましたが、実際にお祀りされているのは此の時始めて見ました。桃の神名は大神実命(おおかむづみのみこと)と言います。イザナギが死んだイザナミを迎えに黄泉の国に行き、見るなと言われたイザナミを見てしまい、其れを知ったイザナミが怒り狂い、雷神や黄泉醜女(よもつしこめ)を引き連れてイザナギを追いました。常世と黄泉の境にある黄泉比良坂まで来てイザナギは最後の手段で桃の実を投げつけました。するとたちまち黄泉の軍隊は桃の降魔の力を恐れをなして撤退致しました。そこでイザナギは桃に対して大神実生命と言う名前を授けたのです。実際に奈良県桜井市にある三輪山の北西麓一帯にある纒向遺跡(まきむくいせき)では多くの桃の種が見つかっております。甲府盆地は3つのプレート(ユーラシアプレート、北アメリカプレート、フィリピン海プレート)がせめぎ合う稀有な場所であり、三つの沈み込む巨大プレートの底に潜む地龍を鎮める為に神の果物を植えているのかは分かりませんが偶然にしては余りにも状況に合致致します。桃と日本人は太古から結び付きが強いと感じますね。子供の頃から飲んでる美味しい不二家さんのビーチネクターは降魔の力があるのかな〜?と1人で考えながら笑っている日曜日の午前中でした。
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