みすゞかる 信州の釣り人

体重0.14tの釣り師ですので目立つのが悩みです。 今までは写真を撮って釣行日誌としてましたが今後はブログとして趣味の歴史探索や刀剣も含めて綴ってみます。

千曲川 イワナ ヤマメ釣り

いよいよ来週から梅雨が本格化しそうな天気予報ですが、梅雨の増水による良い釣りを思い描きながら本日も信州に向かいました。

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現地に到着してみると期待に反して平水でした。コンディションだけは我々サンデーアングラーは選ぶ事が出来ませんので辛いところです。それと通常なら町田市から釣り場までは通い慣れた道なのでノンストップで走るのですが、今日は境川サービスエリアで力尽きて1時間ほど仮眠しました。タダでさえ重い体が本日は更に重い感じがしますので、予定していた山岳渓流は諦め、スレていて釣り難いのですが、体力的に楽チンな川に致しました。

今年はまだ入っていない本間川です。
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以前は良いヤマメが釣れた名川でしたが、最近は全く釣れない川になってしまったので足が遠のいておりました。因みに本間川は降りて遡行する釣果と土手の上から釣る釣果では結構差がつきます。国道から直ぐ上の瀬で綺麗なヤマメが出てくれました。

ピッタリ8寸でした。
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次は此の堰堤ですが、おそらく上から釣るとマズメ時以外は魚にバレバレとなってしまいます。
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尺モノを期待しましたが9寸イワナでした。
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その上の落ち込みは絵に描いた様なポイントで白泡の消えた辺りに沈み石が存在し、其の沈み石の前で9寸イワナが出てくれました。先程と同じで梅雨の時期らしい太い個体でした。
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しばらくアタリが出ないまま50mほど遡行するとブロック落ち込みが現れましたので錘を重くして巻き返しに餌を落とすと、小気味良いアタリで太いイワナが釣れて来ました。
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先週は不覚にも自己規定を一匹上回る魚をキープしてしまったので、今週は1匹少なく4匹をキープさせて頂き家族の糧と致します。
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この川は魚の処理やビク洗いにモッテコイの小さい流れが有り、至便この上ございません。
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尺モノは出ませんでしたが、太い良い魚が釣れたので千曲川竜神さまに手を合わせて拝礼致しました。帰りに新海湊神社に立ち寄り、祭神様である罔象女神 (ミズハノメノカミ)に本日も無事に釣りを終えた事を感謝して千曲川を後にしました。

リクエストなので少々恥ずかしいのですが、今回のイワナをお料理した写真を載せました❗️
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木曽川 イワナ アマゴ釣り 小糠雨の渓

この時期の町田市では『ねむの木』のファ〜っとした花が咲いてます。もう少ししたら信州の標高の高い場所でも咲くと思われます。私の個人的な目星ですけど『ねむの木』のファ〜っとした頭状花(トウジョウカ)が咲くと、遡上第一陣の渓魚が支流に差してくると考えてます。雨の降る時期にもよりますが、概ね良い経験をささて貰ってます。禁漁月の9月には更に大きく育った越大物が遡上してまいりますので、コレからの季節はアレやコレや妄想し、どの辺りに遡上しているのかと考て渓友と語り合うのも楽しい時間です。

ねむの木の花 wikiより
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今日は開田高原の川に入りました。西野川に流れ込む支流で梅雨の時期には良型が浅瀬で釣れます。私の個人的な考察なのですが、濁りが有る時は通常のミミズを使い、水量が多くてもクリアウォーターの場合はミミズの細虫を房掛けにして釣ります。細虫を房掛けして軽めの錘で流すと細ミミズがファ〜っとねむの木の頭状花の様に広がってアマゴには効くと思われます。

現地に着くと正に小糠雨が音も立てずに降っておりました。川は少しだけ水に色がついた良いコンディションです。

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早速ミミズの細虫を房掛けにして錘は4号を装着し、浅い瀬瀬を流すと引ったくるようなアタリで太いアマゴが釣れてまいりました。場所が良かったのか短い距離でイワナとアマゴの良型が連続で竿を絞ってくれました。

私は自己制限匹数を決めているのですが、今回は数え間違いをして1匹多く釣ってしまいました。数えていたつもりでしたが、まだまだ修行が足りない証拠ですね。
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川から上がるとだいぶ水量が増えておりました。コレからは大物が差してくるのが楽しみです。場所を移動して魚の処理を済ませました。身なりを正し木曽川竜神様に感謝の拝礼をして帰路に着きました。

         


余談
『ねむの木』を漢字で書くと『合歓木』とかきます。『合歓』とは喜びを分かち合う事、または夫婦が共寝する事を指しており、夫婦円満の象徴だと伝わります。実際に『ねむの木』は就眠運動により夜になると自分でゆっくり葉を閉じ、左右の葉が合わさる事から其の名が付いたと伝わります。また、花は生薬として用いられ、不眠解消や精神的な安らぎに効能を発揮するそうです。以上の話を師匠が存命の時に聞いた時、フッと思った事があります。本当に『ねむの木』が夫婦円満を象徴するならば、ねむの木の花が咲く此の時期に雄と雌で梅雨の増水を利用して遡上する渓魚を釣る事は、実はとっても無粋な事かも知れない(笑)と。

木曽川 イワナ アマゴ釣り 尺一寸アマゴ

今週は仕事に忙殺されたキツい週でございました。何時もの事ながら週末の釣りを思い起こすと体は疲れていても奮起出来るのは我ながら不思議です。今週は雨が降らなかったので、今迄水量が多くて竿を入れ難くかったポイントに確り餌を入れる事が出来るのではないか....と考えて木曽に向かいました。

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個人的な好みかも知れませんが、木曽の本流釣りは今ぐらいの水量が広いポイントを探りやすくて釣りやすく思います。一転梅雨の増水時になると支流に良型が差してまいりますので其れは其れで楽しみなので釣り師のサガは困ったモノです。

今回狙いを付けたポイントは、昨年良い思いをしたポイントです。大水の後は重機でボサが綺麗になってしまい、葦ぎわのポイントは全て潰れてしまいました。でも川底は掘り返してないので瀬は生きてると考えて再度狙ってみる事に致しました。

昨年までは此のポイントに入ると、川まで着く迄に朝露でビショビショでした。
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実際に釣り始めると予想通りと言うか、案の定というか全くアタリがございません。其処で上流部に向かうのは中止して今度は下流に向かいました。

下流は河原が残って良い感じです。
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ノッペリとした瀬なのですが、元々は魚影の濃い釣り場なので慎重に一筋ずつ流しました。チビに何匹か遊んで貰った後で、林の下で日陰になって大石が有ポイントに出ました。早速その大石のウケ(手前)で餌を吹き上がらせますと、ガッと小さいですが力強いアタリがまいりました。反射的に合わせると魚は下流に猛ダッシュして暴れまわります。水中でヒラを打つ姿は白かったので大型のアマゴだと分かりました。慎重に弱らせてタモ入れしたのは銀毛した尺一寸のアマゴでした。ノボリと言われている種類のアマゴだと思われ、銀色の鱗を纏っておりました。川底が変わらないと毎年同じところに魚が着くのが不思議です。我々が道路を通る様に魚にも通る道が有り、道の駅みたいな遡上過程での休む場所が有るモノなのでしょうか? 何にしても此の幸運に対して一旦竿を仕舞い、天を仰いで木曽川竜神様に御礼を申し上げました。

雄でした。
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背中の黒点が少なく朱点が綺麗です。
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暴れる度に銀鱗が剥げてまいります。
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だいぶ荒らしてしまったので、少し下流に下って釣り初めると、今度は岩の後ろでツツンっとイワナ独特のアタリが出て、泣き尺のヤマトイワナが釣れてまいりました。此の子も元気に暴れてくれました!
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もう少し下流に行くと小さいのに混じり20cm前後が釣れて自己制限引数に達しました。
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今日は久しぶりに木曽川本流の釣りを堪能出来ましたので、近くにある祠に御礼に向かう事と致しました。少し下流に行くと河原に此の東家がございます。
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東家の近くに弁天様と書かれている看板が有り、木曽川を挟んだ対岸に弁天様を祀る祠が巨岩の上にございます。女性を思わせる岩の形もさることながら、弁天様は水を司る神様で有り、御礼の意味も込めてお詣りさせて頂きました。此処で遅い朝ごはんを頂くと、急に睡魔に襲われて3時間弱仮眠を取りました。

少し弁財天について触れると、ご存知の様に七福神の一柱に数えられる神様です。七福神自体はヒンドゥー教や仏教、道教神道などの要素を併せ持って室町時代には既に民間信仰として広まっておりました。弁天様はアマテラスとスサノオの誓(ウケイ)でアマテラスがスサノオの剣を噛み砕いて吐き出したモノから生まれた宗像三女神の一柱である市杵島姫命(イチキシマヒメノミコト)であると言われております。白蛇を配下に持ち、琵琶を持つ優しい姿と勇ましい姿の両面をお持ちになっていると聞きます。また市杵島姫命は絶世の美女と伝わり、商売繁盛や芸能、他には金運、勝負、交通安全の神様として信仰されてます。父神がスサノオノミコトだけに最強神ですね!そんな弁天様に見守られて熟睡した後は、いつもの通り南宮神社に参拝して帰路につきました。やはり木曽川は良い渓魚を育む素晴らしい川ですね!

千曲川 イワナ釣り

金曜日にまとまった雨が降り、釣り場のある甲信越の河川は増水してます。金曜日に雨が降ってくれるなんて年に何回も有る事ではあひません。いよいよ大物釣りのチャンス到来です。今週は会社で色々な騒動が有り、木曽迄は厳しかったので千曲川水系に向かいました。

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本流に入ろうかと思いましたが、休日にはなるべく人の気配は感じたくありません。そこで山深い勝手知った杣添川上流に入りました。川は増水してますが、程良いコンデションです。この水色なら釣れるのは分かってますので、此の時期に大きいのが流れに入るポイントに直行致しました。さっそく釣り初めると、のっけから浮き玉目印を静かに力強く沈み込ませる大物のアタリが来ました。取り込みに苦労しながらタモ入れした魚は太い尺上イワナでした。携帯のカメラで撮影しようとベストを探りましたが、携帯を車に置きっ放しにしてしまいました。綺麗なイワナだったので残念でしたが、気を取り直して上流に行こうとすると、鹿さんが右岸から家族でお越しに成って、川を渡りました。鹿さん家族は川を渡り終えると此方を見て『ピー』と泣き、少し上流を再度右岸に渡り、今度は家族で『ピー』と泣いてます。ポイントが荒れちゃった事と何となく山神様が危険を知らせてくれている気がして上流に向かうのは止めました。入渓点まで戻り、少し下流てわ20cm前後に遊んで貰って竿を仕舞いました。

大物イワナは尾鰭の下が擦れてますので、下から遡上して来た個体と思われます。
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車まで戻って何時も魚の処理をする沢に向かいました。車から近くて魚の処理が出来る場所は意外と少ないものです。此の場所は小さい沢ですが何時もの倍くらいの水量です。魚を処理して水中に投じた処理物に少し下流で黒いモノが反応しました! ん? なんだ? と思いながらも処理を続けましたが、その後は反応はございませんでした。魚籠を洗い、川砂を手指に擦り付けて手のヌルを取っだったので後、下流部をしばらく観察しましたが、先程の黒いモノの正体は分かりませんでした。

車に戻り帰り支度をしてましたが、どうしても先程の黒いモノが気になります。其処で再度竿に仕掛けを張ってミミズを付け、先程の場所まで戻って投餌してみました。葦の根の下から黒い影かユラっと現れてヒラを打ちました。アワせると強烈な引きです! お馬鹿な私は軽い気持ちでだったのでタモを忘れてしまい、0.6号を信じて抜き上げました。既に自己規定引数までキープしたので写真だけ撮影してリリースしましたが、竿に付けたメジャーでは31cmのスレンダー雄イワナでした。元気に小さな流れに戻って行く勇姿を見送りながら、恐らく昨年の秋に遡上し産卵活動を終えて、此の小さな川に残って少ない餌を食べていたのだろうと考えました。過去に尺イワナが群れ泳ぐ芳醇な千曲川を思い起こさせる魚であり、何となく嬉しく思い帰路につきました。
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可愛い小海線の電車が通りました。
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空が晴れて八ヶ岳が美しい姿です。
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まだ雪が残ってます。
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木曽川 イワナ アマゴ釣り 今期2度目

金曜日にやっと車が修理から戻りました。会社から帰って直ぐにヘッドライトを付けて車内を念入りにアルコール消毒を済ませました。今回は20年近くお会い出来てない初代渓友会会長も参加されます。本年定年退職され、和歌山県からの大遠征です。若い頃に渓友会費の名目でさんざんご馳走になり、数えきれないほど釣行を共にさせて頂きました。仕事上でも御世話になった頼もし過ぎる上司です。今回は何時もご一緒している先輩も参加して楽しい釣行となりました。

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さて実釣の方ですが、朝一は本流に入りました。いきなり良型イワナが掛かりましたが、寸前で針外れです。逃した〇〇〇は大きいと言いますが、アゴがシャくれた立派な男の子でした。此の子は私のタモに半分収まってからの首振り&針外しの離れ業を演じて見事に逃れて行きました。去っていったのはイワナだけで無く、何故かタモに付けている取り付け紐がベルトから外れ、膝上までの激流に乗って流されてしまいました。コレは困りましたが、数年前に千曲川本流でルアーマンが落としたと思われるアルミ枠のランディングネットが車のトランクに有った事をを思い出し、代用とする事と致しました。餌釣り師の腰にランディングネットは全く持って合いませんが仕方有りません。

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少し下流にポイントを変えてミミズを流すと8寸アマゴが釣れてまいりました。木曽川竜神様がイワナとタモの代わりに使わしてくれたと思い、手を合わせて感謝した次第です。朝方の雨で活性が上がった様で、その後も粒揃いのアマゴが釣れて楽しませてくれました。綺麗なアマゴも顔を出し、魚籠の魚もすでに制限引数まで達したので本日はコレで竿終いと致しました。
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魚の処理や後片付けを済ませて3人で南宮神社に参拝です。
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師弟揃って頭頂部が.....!
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南宮神社に参拝者している時に氏子の方が話しかけてくれました。氏子の方に我々は釣りで木曽に訪れいて、南宮神社さんには安全祈願で何時も参拝している事を伝えました。氏子の方には旭の滝の水量の事などを教えて貰いました。それと本殿を柿渋で塗るとの事、なんでも南宮神社の神主さんは若いが拘りをお持ちの方で本殿前を流れる清流に人工塗料の毒気を流したく無いというお考えであるとの事でした。柿渋を塗り込めた本殿なんて見た事も聞いた事もございません! 7月には完成するので是非見に来て欲しいとのと事でした。氏子さん達は其々手弁当で作業を行う事を聞いて、『やはり...』と思いました。最初に南宮神社の神域に入った時に感じた事は凛とした空気と手入れの良さでした。地域の方が守り神さまとして大事している事が改めて理解出来ました。柿渋が塗られた本殿の事を楽しみにして風薫る5月の木曽を後に致しました。
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支流に入った渓友会初代会長の勇姿です!
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オアズケの終末

自分の不注意で車を破損し、今週も釣りはオアズケでです。『代車をお貸ししますか?』と修理工場の方は仰って頂きますが、ご時世で運転するのは躊躇われます。やはり直って来てから入念なアルコール消毒を程した自分の車でなくては、車中泊も兼ねた釣行は厳しいと考えました。

土曜日の朝は何時も通り子供達の朝ご飯を作り、家族3人で食卓を囲んでご飯を頂いていると、何時も使っている湯呑みが目に止まりました。此の志野焼の湯呑みは結婚祝いに多治見市に住んでいる友人より頂いた夫婦湯呑みです。もう25年以上使っており、内側の貫入(焼成時に土と釉薬の収縮率の差によって生まれる浅いヒビ)に茶渋が着いてやっと良い感じになって来てくれました。此の志野焼きの湯呑みを手にした時から私は志野焼のファンになったのです。本日は少し志野焼について綴ろうと思います。

鼠志野夫婦湯呑み
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高台の中に『日』の銘があります
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貫入の中は茶渋が入り良い感じです。
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作者は岐阜県重要無形文化財保持者の安藤日出武さんです。窯元の家に生まれて3代目になる方です。巨匠加藤唐九郎先生の助言で美濃発祥の焼物造りに目覚めたとテレビで見た本人の話にございました。そこで穴窯という桃山時代の窯を築いて艱難辛苦の末に数々の賞を受賞された陶芸家です。

志野焼美濃焼の一種です。室町将軍に仕えた志野宗信(そうしん)が美濃の陶工に命じて作らせたのが始まりで桃山時代に全盛期を迎え、桃山時代の終わりと共に途絶えました。百草土という焼き締りが少なくて鉄分の余り含まない土を使用し、釉薬には長石を砕いた物を使用致します。付け加えると志野は生粋の日本生まれの焼物なのです国宝に指定されている二つの茶碗のうちの1つは志野であり、卯花墻(うのはながき 三井記念美術館蔵)と言います。写真でしか見た事ございませんが、茶碗に小宇宙を持つと言っても過言ではない名品と言われております。茶道具とか刀剣類もそうですが、名品には必ず名前を付けて呼称するのは、良い物には魂が宿ると考える日本人の美意識ですね。

国宝の卯花墻です。
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志野焼を再現した偉人
志野焼の愛好者で知らない人は居ない程の中興の祖である荒川豊蔵先生が岐阜県可児市の窯跡桃山時代に焼かれた筍紋の陶片を見つけ、桃山陶器の再現を目指して作陶を続けて人間国宝に認定されました。それまでは仲間の魯山人とは違って収入的には恵まれていなかったそうです。その技法は後に人間国宝に認定された加藤考造氏などに引き継がれました。荒川豊藏氏や加藤唐九郎氏の先達が1985年に同時に世を去った後、鈴木蔵氏が今迄穴窯や登り窯での焼成していた志野焼をガス窯を使って制作し、志野焼きに革命をもたらせました。

興味がある事は追求したい残念な性格の私は家に有った物だけでは飽きたらず、嫁さんに内緒で多くの作品を購ってしまいました(特に鈴木蔵氏のぐい呑み)。品々を一つひとつ語ると長くなってしまうので、紅色が美しく出ている茶碗を一つ、お婆ちゃんの遺品を一つの紅白一対をご紹介致します。

林幸太郎氏の志野茶碗です。
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林幸太郎氏1940年に美濃焼の窯元の息子として生まれ、幼いころから陶芸の世界に触れながら育ちました。高校卒業後は岐阜県陶磁器試験所で人間国宝の加藤孝造に作陶を学び、その後は実家の美濃焼窯元「孝竜窯」で腕を磨きました。様々な伝統技法を研究し、若くして天才陶芸家として数々の賞を受賞致しましたが、41才という若さで惜しくも此の世を去ってしまいました。そして其の意思は弟の林正太郎氏に引き継がれ、正太郎氏は現代美濃陶芸を牽引する大人気作家となり、岐阜県重要無形文化財まで登り詰めてます。


お婆ちゃんが残した河村俊郎氏の志野茶碗です。
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鼠志野と言う焼き方で素焼きの上に鬼板と言う鉄泥を化粧掛けし、其の鉄泥を削って模様を付け、更に志野釉を掛けて仕上げる技法です。
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紅白は『赤』が赤ちゃんを表しており、人がこの世に生まれおちる出生の事、『白』は白紙に戻る死を意味しているとされております。つまり紅白は人生を現すので、色々な節目の時に使うとも言われてます。しかし食いしん坊な私は紅白饅頭を連想してしまいます(笑)。志野焼もそうですが、備前焼の金重陶陽先生や福島善三先生の青白い幽玄な器など、眺め始めたら時間の経過を忘れさせるのは刀剣と同じです....でも....頭の中では川の音がしております。
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自爆の代償

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5月2日のブログで無佐澤川で釣り上げた大アマゴの事を書きましたが、此のアマゴはよく考えてみたら剥製にしておりました。此の写真は14年前の9月21日に無佐澤川の本流合流点から2つ目の落ち込みで釣り上げたアマゴの剥製です。剥製を入れた段ボール箱は物置に沢山しまっておりますが、片っ端から開けてやっと見つけました。銀化の肌に婚姻色が出た綺麗な魚体でした。貧乏サラリーマンである私の家は物置が狭いのに剥製は嵩張りますので最近は製作依頼をなるべく控えております。

話は本題に戻りますが、先週土曜日は29年来のお付き合いである渓友会の大先輩に家から40分の桂川支流の鶴川を案内して貰いました。ところが此の日は色々な意味で運の無い日と成ってしまい、今週は釣りに行けない事に成りました。全て私の不注意が招いた凶事であります。仕方なく家で仕掛け作りと家事に専念しております。お恥ずかしながら其の凶事を綴ろうと思いました。

※第一の凶事
今回は集合場所が何時もの180Km先では無く、家から40分の上野原でした。高速代をケチるつもりで大垂峠を通ったのが運の尽きだったと思われます。峠に入ると急に1時間ほど仮眠を取ったのにも関わらず睡魔に襲われ、直ぐに耐えられない偏頭痛が襲ってまいりました。目眩がするくらいな痛みに堪り兼ねて小さい回避スペースに入ろうとしたら鉄製のボールに左のドアを思いっきり擦ってしまいました。20年前に林道で草むらに有った石に気が付かず擦って以来の運転ミスでした。傷ついた車は今週火曜日に保険会社を通して修理工場に運んで貰い、帰って来るまで釣りには行けない事と成ったのです。コロナ蔓延前は2人で一台に乗って釣行しておりましたが、昨今の諸事情では厳しいと判断した次第です。

鉄製ポールのネジでやってしまいました。
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※第二の凶事
コレは私が肉体的に被害を受けたわけでは有りませんが、中国政府がウイグル人に行ったジェノサイド並みの集団虐殺を意に反して行ってしまったのです! 最近私はコロナウイルス対策に半分キチガイになっておりますので、釣り餌のブドウ虫が包まれている段ボールにアルコール消毒を施し、小さい袋に入れて車に積んでおりました。朝方になって釣り支度を済ませて餌箱にブドウ虫を移そうと思いましたが、いくら探してもブドウ虫を入れた袋が見つかりません! 後部座席などを探しまくりましたが出て来ませんので途方に暮れている時にフッと足の下にある物に目を移すと見覚えのある袋がクシャクシャになって私に踏まれておりました。中身はクリームシチュー状のモノが入っておりました。アレ???....しまった〜やってしまった〜と瞬時に事態を悟りましたが後の祭りです。潰されたブドウ虫君達が余りにも不憫過ぎて土に埋めて手を合わせました。土の上に何時も持参しているスキットルのウイスキーを御神酒代りにかけて念入りにブドウ虫君達の菩提を弔った次第です。釣り餌にするので変わらないだろ〜と思われると思いますが、役目を全うさせずに全て踏み潰すなんて釣り師として耐えられませんでした。此のカルマは必ず何処かで私に巡ってくると思います。

※第三の凶事
餌が無くなった私に心優しい兄貴分である先輩は餌を分けて下さりました。そこで気を取り直して釣りを開始致しました。釣り始めると浅瀬でヤマメが入れ食いです! ところが全てのヤマメは養殖魚であった為に早々に川にお帰り頂きました。 

交通至便にも関わらず綺麗な川です。
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そんななかで石をひっくり返して捕まえたオニチョロで小さい天然イワナが顔を見せてくれたのが幸いでした。釣り終えてからは川通しで入渓点まで戻りますが、その過程で足がツルっと滑ってコケてしまいました(ツルカワですから洒落に成りません)。そのとき水中の岩に思いっきり掌底を打ち込みましたが(本当は手をついただけ)、手の方に大きいダメージを受けてしまいました(瓦15枚を粉砕する私の掌底も岩には勝てませんでした)。

釣りを終えて家に帰りましたがコレ以上の災難はゴメンだったので家から出ませんでした。この日は他にも酔っ払っていないのにタバコを反対側から火を着けてしまったり、娘達の夕飯を作っている時に包丁で指を切ったり、火を止めたばかりのガスコンロのゴトクに触ってしまい火傷したり...など小さな凶事も沢山ありましたので、夜には大量の御酒で体をお祓いして早めに寝ました。

翌日は左手が火傷、切傷、打身による青アザなどのオンパレードとなっている事に我ながら驚きました。そこで朝から御祓いの為に刀の手入れを行う事としました。手入れは簡単です、錆を防ぐ為に刀に専用の油を塗るだけです。まず揉んで柔らかくした奉書紙で刀身に着いている古い油を拭き取ってから地鐵と刃文を鑑賞しました。地鉄の鍛え肌や刃文の沸を鑑賞していると不思議に心静かな気持ちになりました。

我が家の守り刀である薩州住平正良です。
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刀に住う魂魄がそうさせたのか分かりませんが、手入れが終わって刀身を白鞘に納めると不思議な事ですが、昨夜から継続するモヤモヤっとしたモノが消えた感じが致しました。そう言えばむかし父から強い力士の四股と、真面目な作域の刀は邪を祓うものだと聞いた事があります。気持ちの問題だとは思いますが、本当に気分が楽になりました。
心落ち着けて考えてみれば、小さい災難が起こる事によって大きの災難が発生しなかったのかも知れません。『人間万事塞翁が馬』と言われておりますが、恐らくそうなのであろうと思う事に致しました。その後は今に至るまで凶事は起きておらず、我が家の守り刀に宿る魂魄に改めて感謝した次第です。